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若杉院長が医学の最新の話題を取り上げて書きます。なお、記事に関するご質問、お問い合わせにはお答えしていません。

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マイクロRNA

【マイクロRNA】
癌の精密検査といえば、内視鏡やCT検査といった苦しく面倒くさいものという思いをもつ方が大半でしょう。血液ひとつで癌がわかればこれほど簡単な事はないのに、と考える方も多いかと思います。今まででも腫瘍マーカーといって、ある種の癌において血液中に増加する物質があることが知られています。ところが、腫瘍マーカーは必ずしも早期に増加するのではなく、進行してはじめて測定できるものが大半です。したがって、すでに診断された癌の経過を追う際に用いられます。現在のところ早期に診断できる腫瘍マーカーは、前立腺癌のPSAだけといってもいいでしょう。
ところが、8月のニュースで 血液による癌早期診断の方法が開発されつつあるという夢のような報道がなされました。それがマイクロRNA検査です。現在のところ血液に含まれるマイクロRNAは2578種類知られていますが、国立がんセンターと(株)東レは共同して、過去約65000人の癌患者さんの血液中のマイクロRNAを検索し 早期に診断が可能な物質をしぼり込んで13種類の癌の診断に用いようという計画を発表しました。
ただし、実用化に向かうのは5年間の研究期間の後です。以前の話題で 乳癌の早期診断としてBRCA1遺伝子とBRCA2遺伝子が用いられていることをお伝えしました。新しいテクノロジーは、今までになかった診断や治療の技術を人類にもたらしています。京都大学・山中教授のiPS細胞による再生医療の技術も夢のようなテクノロジーですが、徐々に我々の手の届くところとなっています。人々を苦しめる様々な病気に対する医学の挑戦は、つきることがないようです。
(文責 院長・若杉 直俊)