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若杉院長が医学の最新の話題を取り上げて書きます。なお、記事に関するご質問、お問い合わせにはお答えしていません。

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自殺者数減少

 厚労省と警察庁は3月23日、2016年中の自殺の状況を発表しました。それによると、自殺者数は21,897人であり、昨年を2,128人下回り 内訳は男性15,121人 女性6,776人だったそうです。その原因の多くは健康問題であり、かつての自殺者3万人の頃のような経済問題は減少しているようです。
 もちろん自殺者が0になるのが理想ですし、厚労省や都道府県では自殺者を減らすためのさまざまな施策を施行してきました。私ども埼玉県医師会でも、年1回 自殺予防のために一般医むけの医学講演会が開催されており、筆者も欠かさず出席していますが参加者が年々少なくなっているのが現状です。
 自殺の原因として健康問題が上がっていますが、多くをうつなどの精神疾患がしめることが知られています。最近リウマチや脊柱管狭窄症などの慢性疼痛を伴う疾患の方々に、少しでも気分がはれるために抗うつ剤を用いることがありますが、これも痛みからくる反応性のうつであり、自殺への配慮が必要とされています。
 自死者を少しでも減らすことが必要であることは皆さんもご理解できるでしょう。ただし自死者は、なんらかのSOSサインをだしていることをみなさんご存じでしょうか。過労死した24歳女性も周囲に疲れたとの言葉を多く残していたそうです。そのサインを見逃さない世の中にしていきたいと思います。(文責 院長 若杉直俊)