今年度のノーベル医学生理学賞は、体内時計の研究者であるジェフリー・ホール博士 マイケル・ロスパッシュ博士 マイケル・ヤング博士の3氏に贈られました。昼行性の動物なら朝起きて夜眠る、夜行性はその逆の行動する、その機序をショウジョウバエを用いて1984年にその遺伝子を発見した功績に対して送られたものです。
日本でも、東大医学部上田泰己教授を中心に理化学研究所のグループがその方面の研究をリードしていましたが、ノーベル賞は同一テーマでの授賞はないので上田教授も別な方面でゆくゆくはノーベル賞候補になると思われます。
ショウジョウバエにおいては、活動停止状態(人間で言えば夜)で蓄積されるタンパクが、活動状態(昼)に分解され、それが少なくなるとまた活動を休止するリズムがあることを解明したのです。哺乳類にも同様な遺伝子があることが知られています。しかもこの遺伝子は神経系だけでなく、体のさまざまな細胞に存在することが知られています。
そしてその働きが乱れると、睡眠障害はもちろんガンや内分泌疾患、代謝疾患にもつながることが予測されています。基礎的な研究でも、これからの人類の疾病克服につながることに対しての授賞でした。(文責 院長 若杉直俊)