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若杉院長が医学の最新の話題を取り上げて書きます。なお、記事に関するご質問、お問い合わせにはお答えしていません。

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エボラ出血熱

【エボラ出血熱】

 エボラ出血熱も話題の感染症です。ただし 日本国内で広がる可能性は限りなくゼロなので、安心してください。エボラ出血熱は、1970年代 中央アフリカ諸国(コンゴ スーダン ウガンダ ガボンなど)でしばしば流行がみられていましたが、今回は西アフリカのギニア、シエラレオネ、リベリアなどの国で患者報告があり、この地域での流行ははじめてです。現在2000人以上の死者が報告されています。
 エボラ出血熱は、エボラウィルスによる感染症です。ウィルスに感染すると2-21日(通常7-10日)の潜伏期間の後、突然の発熱 頭痛 倦怠感 筋肉痛 咽頭痛などの症状を呈します。その後、嘔吐 下痢 出血(吐血・下血)などをおこします。感染すると致死率は高く、現在70%以上とされています。
 エボラ出血熱の感染経路は症状の出ている患者の体液(血液 分泌物 吐瀉物 便)や、体液に汚染されたガーゼや注射針を十分な防護なしで触った際に、傷口から感染して発症します。空気感染はしません。また流行地では、オオコオモリ サル アンテロープの死肉に触れた人にも感染が見られており、そもそもそれら動物の感染症がヒトに広がったと考えられています。
 アメリカの医療従事者が感染して本国に移送され、未承認の抗ウィスル薬を使用して回復したことが報道されました。はやくアフリカの医療現場で使用できないかとヤキモキしますが、この薬が数千人規模で使用できるためには、もう少し製造に時間がかかるということでした。感染症の性質上日本での流行は考えられませんが、特効薬の開発を含め日本で支援できることはできるだけのことをして差し上げたいものですね。
(文責 院長・若杉 直俊)