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若杉院長が医学の最新の話題を取り上げて書きます。なお、記事に関するご質問、お問い合わせにはお答えしていません。

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水痘と帯状疱疹

【水痘と帯状疱疹】

 ヘルペスウィスルはヒトの神経組織と仲のよいウィルスです。もちろんヒトにとっては仲がよいのは迷惑ですが、水痘・帯状疱疹ウィルスや単純ヘルペスウィルスなどで困っている方は多いようです。
 水痘・帯状疱疹ウィスルは、ヒトに初感染すると全身に水痘疹がひろがる いわゆる水ぼうそうになります。水ぼうそうは1~2週間で治りますが、その後ウィルスは神経細胞と共存共栄して しばらくヒトには何の症状もでません。ところが数十年して脊髄の神経細胞内にひそんでいたウィルスは、感覚神経の枝にそって水疱を生じ激烈な痛みやかゆみを生じます。これが帯状疱疹です。さらに 帯状疱疹の治療が不適切だと、帯状疱疹後神経痛を後遺症として残します。帯状疱疹は、一生のうち7人に1人がかかるとされています。水ぼうそうにかからないためにはどうしたらよいでしょうか。水痘ワクチンを接種することです。
 今年の10月から、水痘ワクチンの公費接種が始まります。3歳までに2回の接種をすること、これが予防です。ワクチン接種で帯状疱疹発症が防げるかは、まだ未知の部分がありますが、報告では少なくとも 自然感染群よりもワクチン群に重症な帯状疱疹はでていません。
 単純ヘルペスもやっかいな病気です。単純ヘルペスにはⅠ型とⅡ型があり 前者が口のまわり 後者が陰部に繰り返す水疱をおこします。治療は、外用薬か内服薬。しかし1-2週間でなおるもすぐ再発します。周囲の神経細胞に潜んで なかなか出ていってはくれません。  
(文責 院長・若杉 直俊)