【新しい睡眠薬について】
不眠になやむのは現代人の宿命でしょうか。深夜の中心街では、明るい光が充ち満ちています。さらに、24時間コンビニや深夜のトラック輸送などに従事する人は、仕事柄眠れないことも多いでしょう。世界のなかで一番睡眠時間の短い都市が東京で、平均5時間28分という数字がでています。哺乳類は睡眠を取らずに生存することができない、というのも事実です。そして、現代人の7人に1人が不眠の悩みをもっているそうです。
1995年アメリカのテキサスで、日本人の医学者が1つの脳内物質を発見しました。オレキシンという物質で、その働きは覚醒状態を維持する効果があり、この物質が欠如するとナルコレプシーという病気になることも判明しました。製薬会社はこのオレキシンの働きを抑える薬を作りだし、睡眠薬として人体に投与し効果があることを確かめました。
現在病院などで処方される睡眠薬はベンゾジアゼピン系が主流でしたが、オレキシン阻害薬はまったく新しい睡眠薬として世界初 今年から日本で使われることになったのです。厚生労働省は、現代における睡眠薬の過剰使用に警告を発しています。安易に睡眠薬にたよらず、寝室の室温・音量・照明の調整 ラベンダーやリンゴなど眠気をさそう匂いの環境をととのえること、などでよりよい眠りができるよう情報を発信しています。しかしなかなか眠れず、ついつい薬に頼るのが現代人です。新薬は従来の薬と違った働きがあるため、今までの睡眠薬で効果が出なかった方々には朗報となるでしょう。しかし、新薬は使用に当たってくれぐれも注意が必要です。かかりつけ医とよく相談してみてください。(文責 院長・若杉 直俊)