日本の平均寿命が世界でもトップクラスであることは衆知の事実です。2014年の数字では 女性86.1歳で世界1位 男性80.21歳で①香港②アイスランド③スイスに次いで第4位です。それでは世界の寿命はどうでしょう。
世界の194の国と地域の統計では2013年現在、平均値で男性68歳 女性73歳と報告されています。1990年からの23年間に男性で5.8年 女性で6.6年延長していることも確かめられました。この調子で伸びていくとどうなるか。米ワシントン大学のMurray博士によると、2030年には男性で78.1歳 女性で85.3歳と2014年現在の日本の記録と変わらない数字が予測されています。(Lancet2014.12.18)その死因も上位3つをみると、1990年は①肺炎②下痢性疾患③早産から2013年は①虚血性心疾患②肺炎③脳血管疾患と現在の日本の統計に近づきつつあります。世界の人口は現在約70億と推計されていますが、2030年には100億近くになるとされています。
これは、ひとえにWHOをはじめ世界各国が人類の病気に前向きに対処してきた、そしてその姿勢を継続する英知の勝利です。しかしこの数字は必ずしもバラ色の未来を予測しているかといえば、疑問符がつきます。食糧問題・地球温暖化をはじめとする環境問題・資源の奪い合い・高齢化社会などの問題が今以上にあからさまになるでしょう。その時こそ、人類の真の英知が試されるときです。博士もこの数字が国連のミレニアム開発目標(MDGs)の次の世代につきつけられるであろうと予測しています。
(文責 院長・若杉 直俊)