B型ウィルス性肝炎は、約150万人のキャリアがいるといわれています。前回お話しした母子感染の90%、水平感染の10%が慢性化すると考えられています。その治療は、インターフェロンと核酸アナログ製剤の組み合わせになります。
B型肝炎ウィルスにより持続的な炎症が続くと、肝硬変そして肝癌へ移行するため炎症を抑えることが重要で、インターフェロンと核酸アナログを用いることでウィルスの増殖をふせぎ、可能な限り炎症をおさえこみます。しかし、C型肝炎のようにウィルスを完全に排除することは出来ません。そこで一定期間のインターフェロン療法後も、核酸アナログを長期間内服し続ける必要があります。このほかにも肝庇護療法として、従来行われていたウルソデオキシコール酸やグリチルリチンによる、肝細胞の炎症を抑える治療もありますがあくまでも補助療法です。
B型肝炎ウィルスには、ジェノタイプAとジェノタイプBがあり、欧米はAが主流で日本はBが主流です。Aタイプは肝炎ウィルス感染後に高率に慢性化します。そこで、欧米ではこどもにこのワクチンを義務化しています。日本でB型肝炎ワクチンを導入しようとする動きは、このタイプAが日本にも広がる恐れがあるからです。
ワクチン接種には費用がかかりますが、その支出以上の効果が期待しうる場合 国は速やかにその方針を変更しなければならず、このワクチンもそれにあたります。
(文責 院長・若杉 直俊)