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炎症性腸疾患

 4月の日本医師会雑誌では、炎症性腸疾患(以下IBDと略す)を特集しています。聞き慣れない病名かもしれませんが、安倍総理が治療中の病気で彼は潰瘍性大腸炎(以下UCと略す)です。他にクローン病(以下CDと略す)もIBDにあたり、平成25年には日本全体でUCが16万人、CDが4万人と報告されています。
 UCもCDも何らかの遺伝が関与し、さらに免疫異常が加わると発症する病気です。症状は下痢 血便 腹痛の持続です。最終診断は大腸内視鏡で行います。欧米では人工10万人あたり200-300人と報告されています。日本では、1億2千万で20万人ですからこれからも報告例が増加するでしょう。治療は薬物療法が主です。サラゾピリンという消炎剤とステロイドが用いられます。最近はモノクローナル抗体も徐々に使用されていますが、病気を全くなくしてしまう治療法はありません。病変が重いときには手術で腸を切除することもあります。UC、CDともに特定疾患に指定され、医療費補助があります。一方IBDに似た病態に、過敏性腸症候群があります。これにはあきらかな粘膜の炎症がありませんので、大腸内視鏡で鑑別できます。
 長引く下痢や腹痛があれば、主治医を通して専門医受診が必要です。気になる方は、医師に相談ください。(文責 院長・若杉 直俊)