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中東呼吸器症候群

 韓国で現在進行中のMERS中東呼吸器症候群についてです。2015年5月末までにMERS感染者は、中近東を中心に全世界で1149人の感染が報告され、そのうち431人の死亡が確認されています(WHOの報告から)。もちろんこの数は、韓国の3次感染の状況をみると、日々増加しているのが現状です。
 症状は発熱 咳 呼吸困難であり、下痢などをともなうこともあります。基礎疾患を持つ方が重症化しやすいようです。原因はマーズコロナウィルスで、数年前中国で一過性に流行したSARS(重症成人型呼吸器症候群)と同じグループのウィルスです。有効な治療法はありません。MERS流行地に赴いたときには、咳やくしゃみのある方との接触を避けることが重要です。またこのウィルスはラクダにも感染することが知られ、中東においてはヒトコブラクダに近寄らないことが重要です。
 それでもMERSを疑いえないときはどうするか。医療機関受診が重要ですが、必ず事前に医療機関へ電話連絡等行い受診の手続きをしてください。各都道府県の衛生研究所には、検査キットが配布されています。医療機関で採血・採痰等行い、陽性であれば指定医療機関に入院となります。治療は対症療法です。感染者全員が死亡する疾患ではありませんので、早めの対処がとても重要なのです。幸いまだ日本には上陸していません。備えあれば憂いなし、昔からの格言ですがMERSにも当てはまります。
(文責 院長・若杉 直俊)

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