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若杉院長が医学の最新の話題を取り上げて書きます。なお、記事に関するご質問、お問い合わせにはお答えしていません。

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オメガ3脂肪酸

トランス脂肪酸の話を前々回にしましたが、間違われやすいものにオメガ3脂肪酸があり、これは逆に人体に有益な脂肪酸です。今回はこのオメガ脂肪酸のお話をしましょう。
 -COOHという化学記号は脂肪酸に特有の基でカルボニル基とよびますが、これにNaがつけば石鹸になります。この基は脂肪酸が水に溶ける(水溶性 hydrophilic)ために必要な部分です。一方、油に溶ける部分(脂溶性 hydrophobic)にはいくつかの炭素がならびますが、そのうちカルボニル基から一番遠い先端部の炭素から数えて3の倍数にあたる部分に炭素二重結合がみられるものをオメガ3脂肪酸といい、リノレイン散やエイコサペンタエン酸(EPA)ドコサヘキサエン酸(DHA)などが有名です。EPAは病院で出す薬にもなっています。
 どれくらいのオメガ脂肪酸を摂取すべきか。日本人では1日2.0-2.9gの摂取が理想的とされています。その摂取により悪玉のコレステロールが低下し、心筋梗塞や脳梗塞の予防となります。EPAやDHAが多く含まれる食品は、魚では サケ ニシン サバ イワシなどです。青魚とよばれる魚類に多く存在します。油では アブラナ(キャノーラ)油 ベニバナ油 亜麻仁油などに多く含まれます。炭素二重結合が多いほど油はさらさらしており、バターやラードなどは二重結合が少なく常温では固形となります。人体内部では自然合成できません。
 健康志向の現代において、すぐ薬物に頼るのではなく医食同源の考えで体によい物を摂る生活も重要でしょう。(文責 院長・若杉 直俊)