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ぎょう虫検査

 学校保健安全法改正が平成28年4月施行されるにともなって、来年度から学校検診の内容が変わることを7月10日のコラムでお伝えしました。その際にも簡単に記しましたぎょう虫検査の廃止のお話をします。このことは文部科学省の学校安全保健法施行規則の一部改正に関する省令(26文科ス第96号)で通達されています。
 ぎょう虫検査はご存じのように、セロハンテープを肛門にはって2日間虫卵を調べるものです。全国的に見ても発見率が0.1%以下であり、あまり検査の意味がないとのことで廃止に向かって検討されました。ところが全国的に見ると、九州地方では0.3-0.9%の児童に陽性者がみられ、九州地方の教育委員会では継続か廃止か悩ましい判断をせまれらているようです(西日本新聞 10月3日)。
 福岡市では、直近の発見率が0.9%のため来年度も継続を計画しているようです。ところで、ぎょう虫の症状はおしりをかゆがることです。そのかゆみのために落ち着きがなかったり、爪かみなどもみられます。関東地方においてはそれらの症状が見られたときに、病院で検査すればよいでしょう。先日短期間養護施設を利用する児童がきて、寄生虫卵検査を行いました。もちろん陰性でしたが、医学的に見ても不必要と思われる検査でも法令に記載されている以上施行が義務づけられるものは、まだまだあるようです。
(文責 院長・若杉 直俊)