【日本人の栄養所要量】
厚生労働省は、5年ごとに日本人の摂取するべき「食事摂取基準(2015年版)」を発表し、ホームページで公開しています。この基準は健康な個人並びに集団をターゲットとして、健康の保持・増進・生活習慣の予防のために参考とするべきエネルギー・栄養素の摂取量を示す数字です。
5年前の基準と比べると3つの点で改訂されています。
(1)生活習慣病(高血圧 脂質異常 糖尿病 慢性腎臓病)の発症予防および重症化予防の観点が加えられた。
(2)エネルギー摂取量の指標にBMI(体重kg/身長m/身長m)が採用された。それぞれ目標は 18-49歳 18.5-24.9 50-69歳 20.0-24.9 70歳以上で21.5-24.9 と25を超えない事とされている。高齢者で高めに設定されている理由は、やせ気味に設定すると筋肉の減少があるのに正常とされ、サルコペ二ア(筋肉量減少症)も正常範囲になるからである。これは以前の話題でもふれたロコモティブ症候群につながるからである。
(3)生活習慣の予防を目的とした「目標量」が改訂された。塩分にかぎれば目標として男性9.0g/日未満 から 8.0g/日未満 へ、女性7.5g/日未満から 7.0g/日未満へと減量された。ちなみにWHOが推奨している食塩摂取量は 5.0g/日未満である。ただし、コレステロールの摂取量上限は設定されなかった。これは科学的根拠が乏しいからである。しかし、一般論からいってコレステロール含有量の多い食事摂取は避けるべきであろう。
このほかにも、総カロリー量や 炭水化物/脂肪/蛋白 のカロリー比なども最も新しい観点から目標値を示しています。興味のある方は 厚労省のホームページをご覧ください。
(訂正:先日の記述でBMI値の表記が間違っていましたので、上記のように訂正します。)
(文責 院長・若杉 直俊)