【うつ病】
一生のうち、10人に1人がかかる病気がうつ病です。本人やご家族で罹患の経験がある方、あるいは今闘病中の方も多いでしょう。発症時期も、若年性 老人性と年齢に関わらず あるいは退職後や癌と診断されたあとなどの反応性などさまざまです。症状は、まず不眠や食欲不振 疲れ易いなどの訴えからはじまります。性格は責任感がつよく几帳面な方に多いとされています。それらの症状が2週間以上つづけば、医療機関受診が望まれます。
誘因はなんであれ、原因は脳内の神経細胞間で情報を伝達する物質である セロトニンやノルアドレナリンが不足するために発症します。治療は薬物療法が第一であり、不足したセロトニンなどを補う薬や うつ病にともなう不安を和らげる抗不安薬などを使用します。最近の向精神薬は副作用も少なく 治療効果も十分なものが開発されています。ほかにも認知行動療法などもあります。十分な経験をもつ医師の指導の下、薬物だけでは回復しない方に行われることが多いようです。この病気は まずうつ病を知り、はやく気がつくことが大事です。
最近 新しいタイプのうつ病が報告されています。会社員で長期に欠勤する方の理由に うつ病と診断されるケースが多いのですが、会社に足がむかないものの 従来のうつ病のように一人部屋にこもりきりになるのではなく、欠勤中一人で旅行へ出たり ゲームなどに集中したり、静かにじっとしていない方がみうけられます。どちらかというと、責任感強い几帳面な性格とは正反対にみえる方たちです。不眠や疲れ易いなどの身体症状は共通しますが、一見怠けているようにみえるのです。精神科医の間でも議論が分かれますが、このような症状に悩んでいる方のなかにうつ病と診断される方がいるようです。是非精神科ないし心療内科等の受診をおすすめします。 (文責 院長・若杉 直俊)