【デング熱】
デング熱が話題になっています。海外渡航の経験のない方の中に感染者がでたことがマスコミで報道されました。デング熱とはどんな病気でしょう。
デング熱はネッタイシマカが媒介するウィルス感染症です。日本にはネッタイシマカはいませんが、日本にいるヒトスジシマカも媒介します。病原菌を媒介する生物をベクターと呼びますが、ウィルス陽性のベクターにより吸血時感染すると3-7日の潜伏期間の後に発熱、発疹、頭痛、関節痛、嘔気などが全例にみられます。発疹の形状は、麻疹様紅班 点状出血 紅色丘疹などです。そのなかで、重症化する割合が1-5%、その際の致死率は10-20%です。重症例では、鼻出血や消化管出血がみられ、精神状態では不穏がみられます。
検査は血液からのウィスル分離 PCRによるウィルス遺伝子の検出で行います。治療は、対症療法です。重症例でも適切な治療が行われた場合は、致死率1%未満です。重症化する要因として、異なる型のウィルスの再感染による場合が推測され、今回の騒動では重症化する可能性は低いと思われますが、東南アジアなどを旅行中感染し治癒した経験のある方は注意が必要です。残念ながらこの病気を予防するワクチンはありません。
日本脳炎の項でも解説しましたが、地球温暖化がすすむなか 日本でもこの病気が常態化することが予測されます。日本の空港では、厚労省の検疫官が飛行機内および空港周辺で虫網を使って蚊などを補足し、デング熱をはじめさまざまな病気を媒介するベクターを調べています。みなさんもぜひ気をつけてください。
(文責 院長・若杉 直俊)