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デング熱ワクチン

【デング熱ワクチン】
 2014年11月4号の米国医学誌 ニューイングランドジャーナル電子版の情報です。2011年6-12年3月にデング熱のワクチンが中南米5カ国で試験実施され、60%程度の有効性が示されたことが報告されています。コロンビアの医療機関が中南米5カ国で9-16歳の健康小児約2万人をワクチン接種群2対無効注射接種群1に分け、2011年6月-2012年3月までにワクチンを3回接種しその効果を検証したそうです。デング熱には1-4型の血清型があります。13-25ヶ月後のデング熱発症数からみたワクチン有効性はすべての血清型の平均値が60.8%と算出されました。
 血清型別では、1型50.3% 2型42.3% 3型74.0% 4型77.7%と算出されています。さらに、ワクチンに伴う有害事象は0.6%で他のワクチン接種と大差なく、重大なものもなかったそうです。アジアでもすでにこの研究が施行され、いずれ日本を含む全世界で実施可能となると思います。なお、この夏流行したデング熱ウィルス血清型は1型で、前期のようにやや効果が薄いようですが、中南米での流行がおもに4型ですのでその点が結果として出ているのかもしれません。しかし、現在知られているデング熱の重症化は、複数の血清型に感染した場合ですので、少しでも血清型の異なるデング熱ウィルス感染を防ぐことが出来れば、出血性デング熱にならずにすみます。はやくこのワクチンの実用化されることが期待されます。
(文責 院長・若杉 直俊)