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若杉院長が医学の最新の話題を取り上げて書きます。なお、記事に関するご質問、お問い合わせにはお答えしていません。

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BRCA変異と女性ガン

 第1回目の話題で取り上げたBRCA遺伝子変異と女性ガンの追加報告です。カナダの女性疾患研究所のKelly Metcalfe博士らが、1975-2008年 BRCA1およびBRCA2遺伝子変異を有し、ステージⅠないしⅡの乳癌と診断された方676例を、診断後12.5年追跡調査しました。そのうち345例が正常な状態の卵巣摘出手術を受けていたのですが、卵巣温存群にくらべBRCA1遺伝子異常群でその後の乳癌死亡が56%減少したことを報告しています。(JAMA Oncol 2015.4.23)BRCA2遺伝子変異群では調査数が少ないため、明確な差は出なかったようです。
 アンジェリーナ・ジョリーが乳房切除の後卵巣切除の予定があることを表明したとき、驚きを持ってそのニュースが広がりましたが、その決断が医学的医にも意味あることがこの報告から確かめられました。この調査でも卵巣摘出は、乳癌診断後平均で6年後に施行されていましたから、彼女も近々摘出術を受けるものと思われます。
 米国予防医療サービス対策委員会(USPSTF)では、マンモグラフィーによる乳癌検診で乳癌死亡を減らす有効性を科学的にも証明しています。BRCA遺伝子検査をするまでもなくひろく女性が乳癌検診を受ける機会が増え、乳癌が早期に診断・治療されることを臨みたいと思います。(文責 院長・若杉 直俊)