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脳梗塞治療最前線

  前々回、心房細動と心源性脳梗塞についてお話ししました。脳梗塞の原因として、心房細動以上に重要なのが動脈硬化であり、その予防は生活習慣改善であることは言うまでもありません。しかし不幸にして発症した場合、いかに後遺症なく救命するかが問題です。
 兵庫医大脳外科・吉村先生は、第44回日本脳卒中学会(2019.3)において、早期に行われるべき血管内治療の重要性を強調するものの、その地域格差と適応拡大が問題であると述べています。脳卒中治療に携わる医師らで作る血管内治療研究会が行った全国調査では、血管内治療が2016年・7702件から2017年10360件と34.5%増加、人口十万人あたりでは2016年 6.06件から2017年 9.57件と着実に増加しています。そもそも血管内治療とは何でしょうか。脳血管が詰まって起きた脳梗塞を、かつては点滴で血栓溶解し治療していました。しかし現在は発症後6時間以内ならば、太い血管閉塞(主幹動脈閉塞症)にはカテーテルを用いて血栓をつまみ出したり、血管を膨らませるステントを用いて血管の再開通をはかる治療が行われます。この発症後6時間が16時間へ延長されるべきであることも吉村氏が強調しています。もちろん高度の技術が必要です。
さいたま市にはこの高度医療が行える医療機関が連携して、365日脳梗塞の血管内治療が行われる体制ができています。しかし、埼玉県全域ではまだこのシステムが構築されていません。日本全国何処でも、脳梗塞を発症しても最先端の治療ができることを願っています。(文責 若杉直俊)