先日心房細動の勉強会に出席しました。心房細動(以下Afと記します)とは不整脈の一種で比較的患者数も多く、日本でも100-150万人が罹患していると考えられています。症状は動悸や脈の乱れですが、患者さんが意識せず心電図検査で発見されるのが大半です。この病気を放置しておくと、1年間で1%の確率で心原性脳梗塞を起こすことが知られています。あの、長島茂雄選手がかかった病気です。
Afと診断されてもすぐには治療の対象となりません。発作的にでてもそのまま治るものもあるからです。1週間以上続くAfを慢性化Afとよび、そのエピソードが2回以上みられると治療の対象になります。治療の目的は脳梗塞を起こさないこと、そのためには心房内にある血栓を作らせない抗凝固薬を用います。ビタミンK拮抗薬のワーファリンという薬が昔から使用されてきました。しかし、ワーファリンは人により効きかたがばらばらで、投与量を決めるために頻回に血液検査を要します。また、食事の納豆は効果を減らすため摂らないように指導をうけます。そこで、最近では新しい経口抗凝固薬が開発され使用されるようになりました。その場合は納豆も食べられます。しかし値段が高いため、医師は患者さんと相談しながら処方することが多いようです。
Afのもう一つの治療にカテーテルアブリーションがあります。これは、心筋のなかでAfをおこす部分を焼き切る(あるいは凍らす)治療です。若い患者さんで何度もAfを繰り返す方にすすめられます。この治療は循環器専門の病院で行われます。この近辺では、さいたま日赤病院が精力的に行っています。健診などでAfと診断された場合、よく主治医と相談してください。(文責 院長・若杉 直俊)