みなさんが町の薬局に行って風邪薬や胃腸薬を求めるとき、その金額は1000-1500円くらいでしょう。診療所へ行き、診察後に薬を処方されても2000-3000円です。ほかにも、疲れたから病院でビタミン剤の注射や点滴を希望する方もいます。それでも窓口負担は3000円前後です。
日本では医療行為・医薬品・医療器具などに対して国が公定価格を設定し、保険組合と被保険者間の定まった割合の個人負担分を医療機関窓口で徴収しています。一般的には窓口負担は15歳以上65歳未満では医療費の3割です。検査等がなければ、窓口での負担は3-5千円ほどでしょう。ところが、最近のクスリでは1回あたりの使用で高額な負担を強いるものもあります。もちろん高額医療費保険制度の下、約8万円/月以上の負担はあとで患者さんにもどされますが、窓口で数万円請求されたらびっくりするでしょう。それではどんな薬が高価なのでしょうか。以下何例かあげてみます。
以前にも紹介した免疫ポイント抑制剤オプジーボが、肺癌へ保険適応が広がりました。オプジーボは100mgで15万200円 これを体重あたり3mg 2週間毎に注射し続けます(60kgのヒトで月約60万円)。またC型肝炎の内服治療薬ハーボニーは1錠5万4千で、これを毎日内服3ヶ月使用します(月約164万)。LDL高脂血症の注射薬レパーサは1瓶2万2千円で、成人では3瓶を2週毎に注射し続けます(月約13万円)。
厚労省は、それら高額な薬が本当に必要な患者に的確に処方されているか、日赤医療センター 國頭博士を中心に実態調査を開始しました。もちろんむだな使用はされていないのでしょうが、国民皆保険制度が一部の高額な薬剤の不適切使用で破綻すれば大問題です。近々その結論も出るでしょう。(文責 院長・若杉 直俊)