2020年東京オリンピック開催決定以後、明るい話題には事欠きませんがマイナス面があることも考えなければいけません。過去のオリンピックの経験から、開催時200カ国から1000万人以上の来訪者が予測されています。そこで問題になるのがテロと感染症です。テロはさておき、新興感染症といって前々回述べたMERSや新型インフルエンザ、エボラ出血熱やウェストナイル熱などまだ日本にない伝染疾患が心配です。
すでにそれらは、このコラムで簡単に紹介しました。東京都はその対策として福祉保健局が中心となり、サーベイランスの強化・発生時の治療体制の構築を今から準備していると発表しています。特に夏の開催ですので、蚊が媒介するウェストナイル熱やデング熱の亜型(日本で流行しているのは血清型で1型ですが他に2-4型がある)の侵入が気になります。デング熱は複数の型に感染すると重症化するとされています。ワクチン開発がのぞまれる所です。
オリンピックにかかわらず、東京ではさまざまな国際的なイベントが開催されます。埼玉県は東京に隣接する県として、未知の伝染疾患の全国的流行があればきわめて初期に危険が及ぶ地域です。行政の努力もさることながら、医療関係者のさらなる努力と住民の意識の向上がまたれるところです。(文責 院長・若杉 直俊)