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メラノーマ治療の進歩

60回目のコラムで、免疫チェックポイント治療のお話をしました。メラノーマ(悪性黒色腫)治療に用いられ、従来は治療成績の悪いこの皮膚癌の予後をみごとに改善した報告をしました。
 その際紹介したのはニボルマブ(商品名オプジーボ)ですが、いずれ日本でも別の同様薬イピリムマブも使用できそうです。両者を併用してよりよい効果が出ることが期待されています。その機序は、癌細胞を攻撃する免疫細胞のパワーを持続させるのですが、さらにメラノーマ細胞が増殖する際働く酵素 MAPキナーゼを阻害する薬であるベムラフェニブ(商品名ゼルボラフ)も2015年2月から使用できるようになりました。
 日本では年間10万人あたり1.12人発症するとされる皮膚癌メラノーマは、発見初期から他臓器へ転移していることが多く、予後不良のがんとされてきました。最近の抗がん剤の研究で徐々に予後が改善されてきましたが、ベムラフェニブの他にもトラメチニブもいずれ承認され使用できるようになると、両者併用で67%のメラノーマに効果が見られることが報告されています。
 ガンの増殖を抑制する薬と免疫細胞を活性させてガンを退治する薬を併用して、両面からメラノーマを治療することが出来る現在、この病気と診断されてもがっかりしなくてもすむ時代になりました。(文責 院長・若杉 直俊)

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