公立・私立を問わず、6歳から18歳のこどもたちは学校保健安全法に基づく健康診断が施行され、今年もほぼすべての学校で実施終了したことであろう。ところで、この学校検診が平成26年度から内容が変更されたことはご存知であろうか。
大きな改正点は3つ、すなわち①座高 寄生虫卵検査が省かれた②四肢の状態の診察が必須項目にはいった③健診の対象者を小中高および高等専門学校の全学年としたこと、である。この法律の施行規則では平成28年度から実施としているが、昨年来学校健診前に家庭でこどもの肩の高さの違い等の健康調査票を提出されたご両親もおられることだろう。
座高はかつて発育の指標として必ず計測されていたが、身長・体重を計測すればわざわざ座高の計測する意味がないことがわかり、現在では全く行われていない。寄生虫検査はこの10年間1%以下の検出率のため不要とされた。四肢の状態の観察は、いうまでもなく運動機能につながるもので、健診医が側弯症・股関節疾患・肘の変形などを視診で確認する。家庭でも質問紙に肩の高さや腰回りの左右差がないか回答することになっている。そして、すべての学年の児童・生徒を対象にすることになったのである。
さらに、平成15年度 検査項目から削除された色覚異常についても、児童生徒がそのために不利益を被らないよう学校職員が十分に配慮することも明記されている。子どもの疾患を早期に把握して治療に結びつけるセーフティネットは、乳幼児検診や就学前健診等多々あるが、つい見逃されやすい運動器疾患も今回の改正でしっかり診察することにより、さらに子どもたちの健康維持がはかられることであろう。(文責 院長・若杉 直俊)