2014年1月 チリのイースター島で第1例目に発見されたジカウィルスによるジカ熱が、2014年頃からブラジルを中心に流行し、2015年も徐々にその感染地域が拡大しています。ジカ熱は蚊が媒介する感染症で、症状は発熱と①関節痛や筋肉痛②非可能性鼻炎または結膜充血③頭痛や気分不良を訴えることです。治療薬はなし。同様な症状を呈するデング熱より軽症であるとされています。ただし、ジカ熱による死亡例も報告されています。
流行地域では小頭症の児の出産が多く報告され、現在その関係が調査されています。予防はデング熱やチクングニア熱同様、蚊を避けることです。ブラジル保健省は、妊娠初期の3ヶ月間を特に感染注意の期間として妊婦に注意を促しています。この期間は、胎児の重要な臓器の形成期でもあります。鑑別すべき疾患としては、デング熱 チクングニア熱 麻疹 風疹 パル簿ウィルスB19感染症などがあります。
幸いまだ南米の気温の高い地域のみの流行で、北米では報告されていません。今年は、リオのオリンピックがあります。日本人もたくさん渡伯するでしょう。気をつけるべき疾患としてみなさんもぜひ覚えておいてください。(文責 院長・若杉 直俊)